11日、それからふた月。被災地に祈りを

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 〜〜〜〜大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

稲田陽子

 夫、芳弘の月命日である11日、まさにその日に、東北地方を中心にとうとう恐れていたメガクエイクが起きました。突然に未曾有のカタストロフィーが日本を襲いました。その前後、私は、何故か気になっていた二人の方に電話をかけていました。二人とも、主人が亡くなったのを知らせていなかったのです。しかも、その方たちはパソコンもされず、新聞も見てはいなかったというお話でした。

 一人は、昨年末に続いて、先月も夫だけでなく私にもお見舞いを送ってくださいましたが、私は、精神的に立ち直ることができていなかったこともあり、また、「夫が生きていると思っているなら、このままそう思っていてくれていた方がいい」というそんな思いが去来し、知らせることを踏みとどまっていました。もう一人の方は、こちらでも出版している「洞爺湖の四季〜湖響」や「最北の四季彩」の作者である世界的な自然写真家の綿引幸造さんの奥様で、やはりご主人の綿引さんが昨年12月23日に永眠されていました。

 そのころは、夫の看病で新聞も見るひまも余裕もなく、夫とは古いつきあいのある綿引さんが亡くなられたのは全く知らずにおり、失礼しておりました。そのお知らせは、後日おハガキで知ることになりました。綿引さんの奥様も、主人のことは知らずにいらっしゃいました。憂鬱な思いで私は、お知らせしなければ、と常々心にかかり、とうとう夫の月命日の11日に意を決して、とりあえずはその二人に電話をしたわけです。とりあえず、と書いたのは、まだまだお知らせしていない友人知古がたくさんいるからです。

 本当にこのようなことをお知らせするのは気が重く、切ない作業と言わねばなりません。できれば、誰にも夫の他界を知らせずに私と夫の世界だけで共有し合っていたい、という思いもあり、年末までに年賀状欠礼のご挨拶をお出しすることでご勘弁していただこうなどと勝手に考えていたのでした。しかし、もちろんこんなことは私の自分勝手な思いに過ぎません。

 さて、お二方とも、古いお付き合いでしたので、ひどく驚き、ショックを受けられて、お話もついつい長くなりました。しかし、その長い電話が終わりかけたころ、突然家が揺れ始めました。まるで横波に押されて漂う船に乗っているような感じです。それが、日本にとって長い悪夢の始まりになろうとはそのときは全く思いもしないことでした。

 それからすぐに、メールも電話もつながらなくなったことに気づきました。何ということか、ずっと気にかけていたその二人に電話をかけ終わったとたんに、通信が途絶えたことになります。この日は、11日だったことをその日何度も思い起こし、夫が私に通信してきていたのだと、なんら不思議なことでもないかのようにごく自然に思われてくるのでした。

 そんな風に思うのも、似通った出来事を日々感じ取っているからかもしれません。例えば、あるCDの中にある曲が入っています。それは、私が「夫がいる」二階への階段を昇るとき、階段を昇りきったとき、夫の写真の前に行くとき、必ずと言ってよいほど、私を出迎えてくれます。もちろん、私は、そのCDをかけているのも忘れることがありますが、そんなときでも、頭の中にそのメロディーが響いて、私を気づかせてくれるものです。


 あるいは、思い立って夫の好きなコーヒーを入れて持っていくと、ちょうどその曲がかかっているなどということも単なる偶然とは思えないほどの確率です。夫の意思を確認したいときは、イエスならその曲のときに「呼んでね」と言うと、その通りになります。夫は、私の不意をつき、思わぬ感動と安堵をもたらすのを楽しんでいるかのようでもあります。やはり、芳弘は、活き活きと魂の活動をしているにちがいありません。

 あの後、電話やメールは、北海道だけでなく、日本全国あちこちでしばらく通じなくなっていたようです。

 最後に、未曾有の大震災と津波に襲われ、とてつもない悲しみの中にある方々に心からのお見舞いを申し上げます。一日も早く、安心のできる生活に戻ることができますように、切にお祈りいたします。そして、被災された方々はもちろん、被災地の人々を守る役割にある方々や原発のメルトダウンを食い止めようと命がけで必死の作業を続けている方々とそのご家族の方々にも日本だけでなく世界中から祈りのパワーが届きますように。


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このページは、jiai.netがMarch 19, 2011 12:55 PMに書いたブログ記事です。

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